氷上の神様

演技はそれまでの練習やその時の精神状態やリンクの状況等を総じた結果であって、
「運」だとか「氷上に神様が居る」訳では決してないと思うんだけど、そういう結果になってしまった。スピードスケートでは高い能力と適応力の高さが故に多種目に駆り出されていた高木選手がとうとう金を獲得。フィギュアスケートは御覧の通りの醜態。
ただ見ていて気の毒だからといってドーピングを非難した人々に食って掛かるのはお門違い。ならばそもそもドーピングしなければ良かっただけの話。

ロシアにしてみれば、今回の件は規定に違反して申し訳ありませんというよりは、
「あー検査に出ちゃった」「(検査に引っかかって)運が悪かった」程度の、(水面下で)常態化しているものが顕在化してしまったことへの嘆きに過ぎないのだろう。

選手側も薄々は(自分は)「している」ことを感じていて、でも次(4年後)はない(あの胸もウェストもヒップもないマッチ棒体型だからこその4回転)、ここで金を取れば(国が)残りの人生を保障してくれるという自己都合があるので、自ら出場を辞退はしない/周囲がそれを許さない。その結果が昨夜。

一番目を掛けていた選手が潰れたが故にコーチの面目丸潰れ→上層部からの𠮟責予想→失敗した選手を責める。大して目を掛けていなかった銀メダリストからは祝福を拒絶され…醜い光景がテレビに映し出されていた。

低く短い滞空時間で4回転もせねばならないため、上半身を目一杯捻ってから飛び上がる姿は余り美しい代物でもないし、そんなに無理してまで回る必要はないのでは? 3Aで十分。

ただ3回転上限で完成度を高めてメダルを獲得というのも…30年前(!)より技術レベルが低く全く進化しとらん(^^;
昔男子で3A上限でプログラムの完成度を高くして銀メダルを獲得した選手が居て、金のプルシェンコが「4入れろ」と言って論争が起きた大会があった。(銅の高橋大輔選手は失敗したけれど4回転にトライした)
高橋選手ほどの表現力があるなら許容できるけれど、昨日の女子選手はお世辞にも表現力があるとは言えない。そも今時あれだけの高さできっちり3回転できる選手なら、3Aも飛べそうだけどなぁ(^^;

今の「回転不足でも着地できてしまう」(酷いのになると着地してから半~1回転している)飛び方を見た際に、ジャンプの申し子・伊藤みどり氏は「回転不足で着地できるなんて!」と驚いていた。
昔の飛び方だと長い助走は必要だわ、回転不足でも回り過ぎてもコケてすっ飛んで行くわ(伊藤みどりは何と回り過ぎが多く、リンク外に飛び出して行ったこともあるw)、
その時代のスケーターには、今の「大した助走もなく4回転できる」のが信じられないかも。

当時は彼女のような技巧だけが突出した女子選手が他におらず、表現力豊かな女王カタリーナ・ヴィット(東独)の「カルメン」の前に何度も苦杯を嘗めたけれど、それでも不貞腐れることなく楽しそうに飛びまくっていた。昨日の大荒れ女子銀メダリストにも、多分他の理由があったのだろうね。

伊藤みどり氏の3A↓
このスピードと高さと幅! 飛び上がってから回り始め、視認できる「ゆっくりした」速さで回転し切ってから降りる。これぞ3Aの鑑。しかもこのモロ日本人体型でw

3Aの高さと幅を計測↓
https://www.youtube.com/watch?v=4bCtybmVUYU

現行の採点方法で採点してみた↓www.youtube.com

 

 

今日のBGM: ラフマニノフ「プレリュード(前奏曲) 作品3-2 嬰ハ短調
フィギュアつながりで今週の月9で使用されていた曲(モスクワの鐘)を。以前浅田真央氏がこれで滑っていました。これに限らずタラソワコーチの選曲の良さよ。

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