ミケさんの演奏が日経新聞に載った!

まぁ解説者の文章が「書けと言われたから書きました」レベル(熱なし)でしたがw

今日の日曜版(紙質が上等な中央部分)の「名作コンシェルジュ」はミケさんのラヴェルラフマニノフの『ピアノ協奏曲』。1957年、今から70年も前の演奏が、時を経るにつれ進化する音響技術により磨かれ(HQCD盤まである)、今なお廃盤にもならず生き続けている、尼レビュー中の"Still unsurpassed"(未だこれを超える演奏はない)名演中の名演↓
Amazon | ラヴェル:ピアノ協奏曲 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番(クラシック・マスターズ) | アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ | 交響曲・管弦楽曲・協奏曲 | ミュージック

特に第2楽章のアダージョ・アッサイの評価は高く、初めて聴いた時は余りの美しさと繊細さに涙がポロリ。まぁつべに山のように転がっているので聴いてみてください。

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ピアノスコアが付いている方が好きな方は→コチラ

ミケさんの演奏は音が繊細で美しく、譜面通りにきっちり弾いているのに伸びやかでかっちりしていないという、矛盾が現存しているような演奏。特に和音の響きの美しさは色とりどりのセロファンを重ね合わせるが如く。

以下に大好き&お勧めの演奏を↓

ショパン「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 作品22」(1962年)
もう好き、大好き。ショパン自身はこう弾いていたんだろうなとまで思わせる。
伊RAIのために演奏した一連の演奏の一つで、この中には他にも良い演奏が多い。

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シューマン「ウィーンの謝肉祭の道化 作品26 第4楽章 インテルメッツォ」(1958年 ※ライブ演奏)
人間の腕は2本しかないので、これやドビュッシー作品のように譜面が3段(3つのパート)で書かれていても、どちらかの手で2つのパートを担わなければならない。つまり高速アルペジョの中の1音だけを浮かせて旋律として繋いでいくという高度なテクニックを要する曲な訳で。これをここまでうねるように弾けるのは本当に凄いと思う。(続く最終楽章の火を噴くようなスピードも好き)しかも録り直しなしのライブ演奏。「ミケランジェーリのとっておき演奏」として英BBCが保管していた(元々は)モノラル演奏を疑似ステレオ化し、独グラモフォンが発売。これも事あるごとに復活している。

https://youtu.be/8ALuzQ4dLG8?t=887

ショパン「子守歌 作品57」
これもRAI向け演奏の一つ。
子供を寝かしつける様を模したのが「子守歌」なのだとしたら、子供の枕元でオルゴールが鳴っていたんだろうなと1:33~1:45を聴いて思う。音列が正にオルゴール。ここを敢えて表情を付けず淡々とリズムキープして弾くことで、オルゴールなのだと聴き手に分からせようとする解釈が大好き。

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ベートーヴェンピアノソナタ第32番 作品32 第2楽章」(1965年)
以前も紹介したけれど、6:58~はまるっきりジャズ。ジャズ愛好家はベートーヴェンが好きらしいけれどさもありなん。
作曲したベートーヴェンも凄いが、そこを解読して「ジャズなんだわ」と聴き手に紹介するミケさんの演奏が好き。他のピアニストだと(表情を付けちゃうから)分からないんだよねw 最後は幻想的ですらあり、ベートーヴェンがこの曲でピアノソナタの筆を置いた理由すら納得させるような名演。

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■バッハ作曲(ブゾーニ編曲)「パルティータ第2番よりシャコンヌ」(1949年?)
12:06~のクレッシェンドが物凄い熱量なのに外側が冷たくて外に出られない感じがして、「うーっ!」となったたまま寝たら、夜中に金縛りに遭ったという思い出がw

Chaconne in D Minor, BV B 24 (Arr. for Piano of "Ciaconna" from J. S. Bach's "Partita No. 2,... - YouTube

他にも沢山好きな演奏はあるけれどこの位で。
ああ、初来日(1965年)公演CDのリストのピアノ協奏曲は物凄い(ラヴェルは肝心の第2楽章でN響がトチっている)↓
こんなのライブで聴かされたら皆唖然茫然、「弟子にして下さいっ!」状態だっただろうなぁ(^^;

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初めてミケさんの演奏に接したのはベートーヴェンの「皇帝」。
クリスマスに自分へのプレゼントにCDを1枚買ったら、オマケでグラモフォンの分厚いカタログを貰えまして。それを眺めていたらミケさんの「狂気」を思わせる写真に惹かれて「何か買ってみるか」…と、とっつき易いベートーヴェンに。
もう社会人になっていたのに、25日間ぶっ通しで日に5~6度CDを回して、寝るのは夜中の2時3時。とうとう39度5分の高熱を出してぶっ倒れたのに、なおも寝床で次の「ピアノソナタ32番」を聴き続けていたという、まさに「憑りつかれた」ような出会いだった。
最後の来日公演にかろうじて間に合い、「キャンセルする可能性が最も低いだろう」リサイタル初日のチケットを握りしめて東京まで。普段は「う~ん」なドビュッシーが楽しかったなぁ。(前列のおじさんは身体を揺らしてノリノリだったw)
客層が物凄かった(ピアニストや音楽評論家やその卵の方々)のを覚えている。途中休憩にはあちこちで論評する人々の輪が出来ておりました。2日目以降はやはりキャンセルで、2日目はサントリーホールに場所を変えて何とか演奏したけれど、3日目の客はとうとう聴けずじまい。3日目の客から訴訟か何か起こされていた気がするけれど、「キャンセル魔」で有名なんだから考えなさいよと。
※ちなみに「普通」ならばアンコールも沢山演奏してくれ最終日が一番盛り上がる